腰痛について

最近注目されている腰痛における、筋肉・神経・ストレスの関係

いつも腰が痛いって、本当に困りますよね。動くたびにズキッとしたり、座っているだけでもじわじわ痛んだり。日本では、人生のどこかで腰痛を経験する人が8割以上いると言われていて、まさに“国民的な悩み”とも言える症状です。

昔は「椎間板ヘルニア」や「骨の変形」がなかなか治らない腰痛の主な原因だと考えられていましたが、最近の研究によると腰痛の原因は実はひとつじゃなく、骨や神経以外のところから来ていることが多いことがわかってきました。

椎間板が変形していても、痛くない人がいる?

ちょっと意外な話ですが、1990年代に行われたある研究では、腰痛がまったくない人の椎間板をMRIで調べたところ、変形や突出がある人がたくさんいたという結果が出ています。しかも、変形がある人のほうが腰痛が少なかったというデータも。

「え?椎間板が飛び出してるのに痛くないの?」と思いますよね。これは、腰痛の原因が必ずしも骨の異常だけではないことを示していて、筋肉の使い方や神経の働き、さらにはストレスなどが関係している可能性があるということなんです。

筋肉のこわばり

私たちの腰は、骨盤や背骨を中心に、たくさんの筋肉が支えてくれています。ところが、運動不足だったり、長時間同じ姿勢でいたり、偏った動きが続いたりすると、筋肉の一部に負担がかかりすぎてしまいます。

その結果、筋肉の中に小さな傷ができて、炎症が起きたり、血流が悪くなったりします。これが筋膜性腰痛と呼ばれるもので、レントゲンやMRIでは異常が見つかりにくいのが特徴です。

筋肉が硬くなると、酸素が届きにくくなり、痛みを感じる物質が出てきます。これが脳に伝わって、「腰が痛い」と感じるようになるんですね。特に外から触ることができない筋肉が硬くなるとマッサージなどではなかなか治りません。

姿勢のクセや筋力の低下も影響します

背骨は横から見ると、ゆるやかなS字カーブを描いています。このカーブが強すぎたり、逆に平らになってしまったりすると、腰にかかる負担が増えてしまいます。

また、膝や股関節などに不調があると、それをかばうような動きが腰に負担をかけることもあります。たとえば、膝が痛いときに無意識に腰でバランスを取ろうとすると、腰の筋肉が頑張りすぎてしまい、次第にこわばって痛みにつながることも。

さらに、運動不足で筋力が落ちると、体を支える力が弱くなって、姿勢が崩れやすくなります。そうすると、他の筋肉に余計な負担がかかって、痛みの悪循環に陥ってしまうんです。

その腰痛、ストレスが原因かも

最近では、腰痛の原因として「ストレス」も注目されています。強いストレスを感じると、体の自律神経が緊張して、血管が収縮し、筋肉に酸素が届きにくくなります。これがストレス性筋炎と呼ばれる状態です。

また、痛みが長く続くと、脳や神経がその痛みを“記憶”してしまうことがあります。実際には炎症が治っているのに、脳が「まだ痛い」と感じてしまうんですね。これを中枢性感作と呼び、慢性痛の原因のひとつとされています。

たとえば、手足を切断した人が「ないはずの足が痛い」と感じることがあります。これは、脳が過去の痛みを覚えていて、信号を送り続けているからなんです。

心の状態も、痛みに影響します

腰痛というと、体のどこかに異常があるから痛むと思いがちですが、実は心の状態が痛みに深く関係していることが、最近の医学では注目されています。

たとえば、強いストレスを感じると、体の自律神経が緊張して血管が収縮し、筋肉に酸素が届きにくくなります。これが筋肉の酸欠状態を引き起こし、痛みを感じる物質が発生してしまうのです。つまり、ストレスが筋肉のこわばりや血行不良を生み、痛みにつながるという仕組みです。

さらに、近年では「TMS(Tension Myositis Syndrome:緊張性筋炎症候群)」という考え方も広がってきています。これは、精神的な緊張や感情の抑圧が筋肉に影響を与え、炎症や痛みを引き起こすという理論です。実際に、怒りや不安、悲しみなどを無意識に我慢していると、体がそのストレスを受け止めてしまい、腰痛などの症状として現れることがあります。

また、痛みが長く続くと、脳や神経がその痛みを“記憶”してしまうこともあります。たとえば、ケガが治ったはずなのに、痛みだけが残っているようなケースです。これは、脳が過去の痛みの信号を覚えていて、実際には炎症がないのに痛みを感じ続けるという状態です。

有名な例では、手足を切断した人が「ないはずの足が痛い」と感じる「幻肢痛」があります。これは、脳がその部位の痛みを記憶していて、信号を送り続けているために起こる現象です。

このように、心の緊張や過去の痛みの記憶が、現在の痛みを生み出すことがあるというのが、現代医学の新しい考え方です。だからこそ、腰痛を改善するには、体だけでなく心のケアもとても大切なんです。

腰痛と上手に付き合うためにできること

腰痛を改善するには、体と心の両方に目を向けることが大切です。たとえば:

  • 姿勢を見直して、体幹や股関節まわりの筋肉を鍛える
  • ストレッチや軽い運動で筋肉の柔軟性を保つ
  • 深呼吸や瞑想などでストレスを和らげる
  • 「動いても大丈夫」「痛みは一時的」といった前向きな考え方を持つ

最近では、認知行動療法(CBT)やマインドフルネスを取り入れた腰痛ケアも注目されています。痛みの感じ方を変えることで、脳の反応が穏やかになり、慢性痛の改善につながるとされています。

腰痛は「体と心のバランス」から考えてみましょう

腰痛は、骨や神経だけが原因ではなく、筋肉の使い方、姿勢のクセ、ストレスの蓄積、そして脳の記憶までが関係している複雑な症状です。

だからこそ、治すためには「体と心の両方を整える」ことが大切です。まずは、自分の生活習慣やストレスの状態を見直してみること。そして、無理のない範囲で体を動かし、心を落ち着ける時間を持つことが、腰痛との上手な付き合い方につながります。

 

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