グルコサミンですべての膝痛が治るなら病院はいらない！

最近、膝の痛みや関節痛に効果があるというグルコサミン関連のサプリメント商品が多いですよね。

テレビでもよく宣伝をしているし、ドラッグストアに行けばグルコサミンのサプリメントがたくさん並んでいます。

サプリメントのCMでは元気そうな高齢者がさっそうと階段を上がったりジョギングをしたりする姿をよく見ますね。

さらに愛用者が「これを飲んで膝が痛くなくなった！」みたいな個人的な感想のインタビューもよく見るパターンです。

あれを見て膝の痛み＝グルコサミンというイメージを持っている人も多いかと思います。

ところで、グルコサミンってなんだかご存じですか。

グルコサミンはもともと体内に含まれている成分で、体内の組織、細胞をしっかりつなぎとめるたり軟骨（結合組織）の生成を促す働きがあります。

若い体にはたくさんのグルコサミンがあるので膝も健康なのですが、年齢を重ねるとその量が減ってきます。

だから加齢によって軟骨がすり減って痛くなった膝は、グルコサミンをたくさん補えば膝の骨や軟骨に効いて痛みが改善するはずですよね。

ところが実際はそうでもないようです。

確かにサプリメントなどで体内に入ったグルコサミンは消化されずに吸収されますが、サプリメントで摂るグルコサミンの量はあまり多くありません。

そして体内に入ったグルコサミンすべてが痛い膝に届くわけではありません。

グルコサミンを必要としているのは膝だけではないからです。

つまり、元々サプリメントで摂るグルコサミンの量は少ないのに、患部へ届くのはさらに少なくなるということです。

だから、私達がイメージしているほどグルコサミンの効果は高くないと考えられるのです。

その証拠に、最近のアメリカの研究でグルコサミンと関節疾患の関係を研究した論文が出されましたが、グルコサミンの有効性を明確に実証できないと結論づけています。

明治大学科学コミュニケーション研究所の記事でも、グルコサミンの効果についてちょっと専門的ですが、客観的にその有効性について書いてあります。

「でも、日本にはグルコサミンは効果があるっていう研究結果があるぞ」と思う方もいるかもしれません。

しかし、それらは研究者が利害関係者から資金援助をもらっていたり、企業が商品化するために行った結果ありきの「研究」であったりする場合が多く、必ずしも信頼性の高い研究データではないようです。

また、ネットで検索すると「グルコサミンは膝の痛みに効果がある」と書いてあるホームページはいっぱいあるのですが、そのほとんどが健康食品を扱っていたり、サプリメントなどのアフィリエイトで稼ぐブログだったりします。

膝痛の患者さんでグルコサミンなどのサプリメントを飲んでいるという方が時々当院へいらっしゃいますが、効果があったという話は聞いたことがありません。（効果があったら施術に来ないでと思いますが・・・）

「全然効かない」「効いたような気がするけど、ほとんど変化はない」といった感想がほとんどです。

じゃあ、あのテレビに出ている愛用者は嘘つきか？と言えば、そうではありません。

この手のサプリメントにはプラシーボ効果という、一種の思い込みで痛みが楽になったという人が少なからずいます。

また、体内のグルコサミンが不足している人のごく初期の膝痛ならグルコサミンがほんの少し届いただけでも効果があるかもしれません。

そのような人たちからするとこのグルコサミンのサプリメントは「とっても効果があるのでおすすめ」と言うことになります。

グルコサミン自体は体内にも存在する物質なので、からだに悪いものではありませんし、効果がゼロというわけでもありません。

だから「どうしても飲んでみたい」「もしかしたら自分には効くかもしれない」と思う人は試してみる価値はあるでしょう。

ただし、いまだにその効果がはっきり証明されていないサプリメントですので、長年膝の痛みで苦しんでいる方は過度な期待をしないほうがいいですよ。

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